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映画「マザーウォーター」観ました。

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大好きな映画「かもめ食堂」「めがね」を手掛けたプロジェクトの
新作公開と聞いて見に行って来ました。

年のせいなのか、前評判を知っていたからなのか。
これといった事件も起きず、淡々と過ぎ行くストーリー展開にも退屈さは感じず。
むしろ、観ている間、ずっとこの心地よい空間にいたいとさえ感じました。

ロケ地が京都であるにも関わらず、寺町的な光景は登場しません。
どちらかというと、日本国内のどこかにある川沿いの町という、
アノニマスな雰囲気になっていると思います。

そんな川のある「町」に、それぞれ他のどこかからやって来て、
バーやカフェ経営、とうふ屋などを生業にして暮らしている住民たち。

その暮らしぶりは、ほんの一端しか映画で描かれていませんが、
各人の佇まいやお店の内装などからして、かなりコンパクトでシンプルな生活を
送っているように感じられます。

例えば、セツコ(小林聡美)が営むウイスキーしか出さないバーの、
カウンター席だけのミニマルな空間。
古い民家をリノベーションした砂壁風の内装には、
「和」独特のストイックさが漂っている気がして、
そこでヤマノハ(加瀬亮)と交わされる禅問答的な会話も含め、
思わず、ここはお寺?と錯覚してしまう程でした(笑)。

あまりネタバレしてしまうとつまらないので、この辺にしておきますが、
京都のはんなりとしたスローな空気感は隠し味的にベースにありますし、
癒しムービーとしての側面だけではなく、タイムリーな社会的トピック、
例えば、働き方の問題や少子高齢化、単身者同士の共生なども
描かれているんじゃないかと思ったり…。

余白が多い分、見終わった後にじわじわ来る映画です。

マザーウォーター
by hongomitte | 2010-11-02 01:01 | 店主の趣味


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